【精力剤効果解説】即効性効果=医薬品=副作用!性力剤のリスクを知ろう

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2019.06.04

年齢のせいか、最近精力が衰え始めているのではないか、と不安にかられることがあります。しかし、いかにも効きそうな名前の精力剤には副作用があるような気がして、なかなか試してみる気になれません。

そこで、巷で売られている精力剤にどんな種類があるのか、安全で本当に効く精力剤はあるのか、調べてみました。

1. 精力剤に含まれる医薬品成分

精力剤の成分にはさまざまありますが、最も有名なのはバイアグラやレビトラなどのED治療薬でしょう。

でも、これらは処方薬であって健康食品ではないので精力剤には入っていない、とお考えの方も多いでしょう。しかし、本当にそうなのでしょうか。

2019年4月16日、東京都福祉保健局が医薬品成分を含有する健康食品を発見した、として注意喚起を呼びかけました。

この商品はトンカットアリやマカ、ガラナなどを主成分とする「BARIKATA」というメンズサプリメントですが、1カプセル375ミリグラム中に6.9ミリグラムの「ノルカルボデナフィル」が検出されました。

いわゆる「バイアグラ」はファイザー製薬の商品名で、医薬品成分名は「シルデナフィル」といいます。

シルデナフィルには類似した成分が数多くあり、ノルカルボデナフィルもシルデナフィル類似成分のひとつで、効果はシルデナフィルと同等と考えられます。

バイアグラの1回服用量は25~50mgですが、BARIKATAの1回使用料2カプセルには13.8mgのノルカルボデナフィルが含まれていました。

東京都では消費者に使用中止を呼び掛けるとともに、販売者には販売中止と自主回収を、製造業者には製造出荷中止と廃棄処分を指示しました。

厚生労働省では2013年までに360の健康食品からシルデナフィルや類似成分を検出したとしています。「最強カプセルCHARM」「スーパーロックハード」「蟻力神」「うたまろ」などの商品名に聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。

なかにはED治療薬のシアリス(医薬品成分名タダラフィル)よりも多くタダラフィルを含む商品も見つかっています。

このように、一般に売られている精力剤にシルデナフィル類似成分が混入している例が後を絶ちませんが、ほかにも危険な医薬品成分を含む健康食品が多く発見されています

シルデナフィル以外でも、男性ホルモン、ヨヒンビン、リドカイン(麻酔薬)などが混入している例もあります。それでは、まずこれら医薬品成分の効果と副作用のリスクについてご説明しましょう。

1-1. バイアグラ(PDE5阻害薬)

まず、バイアグラのシルデナフィルですが、そのルーツは1846年にまでさかのぼります。この年、イタリア人の化学者がニトログリセリンの合成に初めて成功、出来上がったニトログリセリンをなめてみたところ、こめかみがズキズキしたと記録されています。

なぜ彼のこめかみがズキズキしたのか、そのときは分かりませんでしたが、のちにニトログリセリンを製造する工場で奇妙な現象が起こります。

この工場には心狭心症を患う工員が何人かいましたが、平日の勤務中に発作を起こすことはありませんでした。

しかし、週末の休みが明けて月曜日になると発作を起こすことから、工場内に浮遊するニトログリセリンの粒子が狭心症に有効であることがわかり、医薬品としての開発がスタートしました。

それから100年近く経った1990年代の終わり、ようやくニトログリセリンが血管を拡張するメカニズムが解明され、新たな狭心症の薬が開発されることになります。

しかし、出来上がった薬は狭心症に対する効果が低く、臨床試験の途中で開発は中止を余儀なくされました。

製薬会社は試験の参加者に残った薬剤を返却するよう求めましたが、なぜか薬を返したがらない。理由を尋ねると、この薬には勃起力を高める副作用があるらしいことが判明しました。

こうしてシルデナフィルは狭心症薬からED治療薬へと方向転換し、発売されることになったのでした。

ニトログリセリンと同様のメカニズムで血管を拡張するシルデナフィルは、1998年にアメリカで発売され、「夢の薬」ともてはやされました。

発売当初は日本の厚生労働省から認可を受けていなかったため、日本での入手経路はもっぱら個人輸入代行業者によるものでした。

しかし、個人輸入で入手した使用者がセックスの直後に心停止で死亡する事故が発売直後から多発したため、急きょ医師の診断と処方箋が必要な医薬品として日本国内で発売されたのです。

アメリカでの発売から1年後という、日本では類のないスピード認証でした。

シルデナフィルはニトログリセリンと同じく、急激な血圧の低下によるショック症状を引き起こすことがあります。

特に、シルデナフィルを使用しているときに狭心症の発作を起こして救急搬送され、医師から狭心症薬を投与されると、最悪の場合場合、死に至る危険があります。

その他の副作用には頭痛、ほてり、視野の欠け、突発性難聴などがあり、まれに持続勃起症を起こすことがあります。この副作用は、勃起状態が長く続くことでペニスの組織が壊死してしまう恐ろしいものです。

痛みを伴うくらい硬い勃起が4時間以上経過した場合には、急いで泌尿器科を受診しなければなりません。薬で勃起が収まらない場合は亀頭を切開して、ペニスに充満した血液を抜いてやる必要があります。

また、インターネットなどで売買されているED治療薬の中には、高い割合でニセ薬が含まれています。

効き目がないだけならまだしも、睡眠薬や興奮剤、血糖降下薬など別の医薬品が含まれているものや、塗料やインクなど不純物や汚染物質が含まれている粗悪品もあります。2009年ごろの調査では4割がこうしたニセ薬だったと報告されています。

また、ニセ薬の中にはシルデナフィルの含有量が正規品の1.5倍も含まれているものもありました。ニセ薬はもとより、いわゆる健康食品や外国製精力剤の中にも、質の悪いシルデナフィル類似成分を含んでいる事例があとを絶ちません。

バイアグラなどED治療薬は絶対にネットで購入してはいけません

1-2. テストステロン

男性ホルモンのテストステロン(メチルテストステロン)はいわゆる男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症:LOH症候群)に処方される医薬品ですが、OTC(薬局やドラッグストアで買える一般用医薬品)としても入手することができます。

「赤ひげ薬局」などにも多くの商品がありますが、男性ホルモンは第1類医薬品で薬剤師による説明を受けないと購入できません

OTC医薬品の「第1類」「第2類」といった分類は「リスク区分」と呼ばれ、副作用の重さによって分類されています。

第2類医薬品とは、「その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品」、第1類は「その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なもの」と定義されています。

第1類医薬品に分類されるテストステロンは、アナボリックステロイドとも呼ばれ、スポーツ界ではドーピングの対象となる禁止薬物です。副作用には、肝機能障害、脱毛などのほか、前立腺がんや前立腺肥大があります。

また、服用している間は精子の数が激減し、服用を止めても元に戻らず無精子症となる可能性があります。シルデナフィルと同じく、海外製の精力剤に含まれていることがあるので注意が必要です。

内服用には肝臓で分解されにくい合成ステロイドのメチルテストステロンが使用されます。

1-3. ヨヒンビン

同じく医薬品成分のヨヒンビンも海外の精力剤に混入が多くみられます。ヨヒンビンはヨヒンベという植物から抽出されるアルカロイドで、血管や交感神経に作用します。

ヨヒンビンは用量によって血管を拡げたり収縮したりすることで血圧を上下させます。

日本では松田薬品の「ストルピンM」や大東製薬の「ガラナポーン」などのOTC薬が販売されていますが、ヨヒンビンは致死量が体重1㎏あたり300mg以下の劇薬であり、第1類より副作用リスクが高い要指導医薬品に指定されています。

ヨヒンビン製剤の効果効能は「老衰性陰萎、衰弱性射精、神経衰弱性陰萎」となっています。陰萎とは勃起力の低下を指すもので、簡単にいうと年齢やストレスのせいで勃起力や射精力が衰えてしまった男性向けの医薬品、ということになります。

ヨヒンビンには血管を収縮させる作用があるので、副作用は全身に現れます。吐き気、めまい、冷や汗、血圧の上昇、あるいは低血圧、動悸やほてりなどです。

医薬品は1回1錠の用量となっていますが、過剰に摂取すると急激な低血圧を起こし、ショック症状から死に至る可能性があります。効かないからといって自己判断で服用量を増やすのは大変危険です。

1-4. リドカイン

リドカインは最もポピュラーな局所麻酔薬で、神経痛や手足のしびれ、不整脈などにも効果があります。麻酔薬としての効果からか、海外製の早漏防止スプレーなどに意図的に混入されている例がみられます。

副作用としてはけいれんを起こすことがあり、重症化すると不整脈やショック症状を引き起こして心停止に至る可能性もあります、

リドカインの効果を持続させるためにアドレナリンが配合された麻酔薬は、指やペニスに使用すると血管を収縮させて壊死を起こす危険性があります。

海外から輸入された精力剤や勃起アイテムには医薬品成分の混入が後を絶たず、ニセ薬や粗悪品も一向に減る気配がありません。

また、正規の医薬品でも含有量にばらつきがみられたことで自主回収に至った事例もあります。もし、これらの医薬品を使用するのであれば、必ず医師の診断を仰ぎ、正規の処方箋で処方してもらいましょう。

2. 副作用のない安全な精力剤とは

輸入品やいかにも効きそうな商品名の精力剤や強壮剤を試すには、副作用など安全性に対するリスクがつきものです。ヤバい商品をネットで購入するくらいなら、クリニックでバイアグラを処方してもらうほうがよほどリーズナブルです。

でも、「そこまで切羽詰まってない」という方には、副作用の心配がなく、しかも効果の高い精力剤をお勧めします。

2-1. アルギニン

最近ではエナジードリンクに配合されているので一般にも知名度の高いアルギニンですが、アルギニンには3つの重要な働きがあることをご存知でしょうか。
<アルギニンの働き>

  1. 一酸化窒素(NO)の産生
  2. 成長ホルモンの分泌
  3. ポリアミンの合成

次に、これら3つの働きがどういうものか解説します。

2-1-1. 一酸化窒素(NO)の産生

アルギニンは体内で別のアミノ酸から合成されるので必須アミノ酸ではありませんが、体内ではすぐに分解されてしまうので、成長期には食事からの摂取が必要な条件付き必須アミノ酸です。

医薬品などと違い、1日に20g摂取しても安全だとする研究報告があります。

アルギニンとして体内にある時間は短く、すぐに分解されて一酸化窒素(NO)、オルニチン、シトルリンに変換されます。アルギニンが分解されてできるNOはガス状の分子で、血管の筋肉細胞の中に入り込み、筋肉を弛緩させて血管を拡げ、血流量を増加させます。

AVを見るなど視覚からの刺激、あるいはペニスに直接触るなどの刺激が脳を興奮させ、この興奮が脊髄を通って骨盤にある勃起神経に到達します。

すると一酸化窒素合成酵素が分泌されてアルギニンからNOが作られ、海綿体の血管を拡張してペニスを勃起させるのです。

もう少し詳しく見てみると、NOは筋肉を弛緩させる伝達物質cGMPを活性化させることで血管を拡げ勃起を促します。

逆に、勃起を鎮めるときにはcGMPを分解する酵素がつくられ、血管が収縮して勃起が収まります。バイアグラなどのED治療薬はcGMP分解酵素の作用を妨げることで勃起を起こさせます。

2-1-2. 成長ホルモン分泌作用

脳の下のほうにある脳下垂体という器官からはさまざまなホルモンが分泌されていますが、アルギニンを摂取するとその中のひとつ、成長ホルモンの分泌が増加します。そのため、アルギニンは脳下垂体の機能を検査する試薬としても使用されます。

成長ホルモンには骨や筋肉の成長を促したり、傷の治りを早めたり、免疫力を活性化させるなどの働きがあります。成長ホルモンはアンチエイジング効果が高いとされ、女性向けの美容医療でも人気ですが、男性に対しても性欲の改善や性的能力の向上に寄与すると考えられています。

2-1-3. ポリアミンの産生

一方、アルギニンがオルニチンに変換されると、さらにプトレスシン、スペルミジン、スペルミンという3種類のポリアミンへと変換されます。

これらのポリアミンは細胞の核酸と結合して、細胞分裂を活発にします。スペルミンの名称は、この物質が精液の中から発見されたことに由来しますが、精子をつくるためには大量のポリアミンが動員されます。

ポリアミンにもアンチエイジング効果があり、人間に例えると中年期にあたるマウスにポリアミンを8週間与えたところ、与えなかったマウスに比べて毛並みが良く、死亡率が低下したとの報告があります。

また、試験管内でヒトの組織を培養する実験でも、ポリアミンを混合すると細胞増殖が活発になった、と報告されています。

2-2. シトルリン

シトルリンは1930年に日本人の研究者によってスイカから発見され、長らく医薬品として使われてきましたが、日本では2007年に薬事法が見直されたときに食品として使用できるようになりました。

シトルリンはたんぱく質に含まれず、体内では血液中や組織に存在しているため、遊離アミノ酸に分類されます。

シトルリンは有毒なアンモニアを肝臓で処理するときにつくられる代謝産物ですが、そのほとんどはアルギニンに変換されます。

アルギニンはNO産生のほかにも、たんぱく質の合成に利用されたり、アンモニアの処理に使われたりするので、アルギニンよりもシトルリンのほうが血管拡張作用には効率が良い、と考えられています。

バイアグラなどのPDE5阻害薬と違って、アルギニンとシトルリンは副作用なしに一酸化窒素を産生してペニスを勃起させます。

さらには、副作用どころか成長ホルモンの分泌を促し、ポリアミンを合成して精子をつくり、免疫力を活性化させてくれる、素晴らしい天然の精力剤なのです。

2-3. トンカットアリ

勃起のメカニズムは視覚や触覚、空想などの刺激で脳が興奮するところから始まります。いうなれば、スケベ心が起こらないと勃起は起こらない、ということになります。

バイアグラなどのED治療薬も服用しただけでは勃起は起こりません。当の本人がやる気になって性的に興奮しなければ勃起は起こらないのです。

性的な興奮を起こすのは男性ホルモン「テストステロン」の役目ですが、実はテストステロンの35~75%は生理活性が失われており、「使える」男性ホルモンの量は全体の25~65%しかありません。

このため、勃起力を高めるにはいかにしてテストステロンの活性を高めるかがカギとなります。

東南アジア原産のトンカットアリは、産地のマレーシアでは古くから強壮剤として使用されてきました。

動物実験ではこれまでにもテストステロンを増やし、性欲、精子の量、精子の運動性を高めたとの報告がありましたが、人での臨床試験も多数進められています。

例えば、軽度のEDがみられる35~55歳の男性に対して、トンカットアリを12週間摂取してもらったところ、性欲、勃起の硬さ、セックスの頻度と満足度において向上がみられたと報告されています。

また、マレーシア政府と米国マサチューセッツ工科大学の共同研究において、テストステロンの値と精子の運動能力改善が報告されています。

2-4. マカ

トンカットアリがテストステロンに作用して精力の増強をサポートするのに対して、テストステロン値に影響を与えない不思議な強壮パワーを持つのがアンデスの秘宝マカです。

マカが日本に上陸したのは今から20年ほど前で、初めて紹介したのは当時のアルベルト・フジモリペルー大統領です。フジモリ氏が現役の大統領だったころ、マカはペルーの秘宝として国外への持ち出しが禁じられるほど貴重な存在でした。

スペイン軍がインカ帝国に攻め込んだ際、スペイン軍の馬たちは標高数千メートルの過酷な高地の環境になじめず、繁殖能力が低下してその数が激減してしまいました。

そこで、EDになってしまった馬たちにマカを与えてみたところ、生殖能力が劇的に回復してスペイン軍の軍事力も復活、マカのおかげでインカ帝国を征服できた、という逸話があるほどです。

栄養豊富な万能食品でもあるマカの研究報告には、ストレスや疲労、リウマチ、貧血などに対する有効性を示すものもありますが、やはり特徴的なのは性機能に関する研究報告です。

ひとつは12週間のマカ摂取で男性の性欲が改善された、とする研究報告、もうひとつは4か月間の摂取で精液の量、精子の数、精子の運動能が改善された、とする報告です。

この両方の試験の前後で被験者たちの性ホルモンには変化がなかった、としていますので、マカには性ホルモンに影響を与えずに性機能を向上させる作用があると考えられます。

これらの結果から、加齢やストレスなどでテストステロンが減少した、あるいはテストステロンの活性が低下したとしても、マカには性機能を回復させる機能が見いだせるのではないか、と世界中から熱い注目を集めています。

マカには脂質、糖質、たんぱく質の3大栄養素、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ほかにも毛細血管の血流を促進するサポニン、ポリフェノールなどの健康成分を多く含んでいます。

また、マカは硫黄化合物であるグルコシノレートを含んでいますが、この成分にはホルモンバランスを正常にする働きがあるとされています。

日本ではあまり取り上げられませんが、マカにはマカエンという不飽和脂肪酸が含まれています。マカは収穫後3か月間にわたり天日干しされますが、アンデスは高地のため紫外線の強さは下界の比ではありません。

この強烈な紫外線を浴びている間にマカエンから生成されるのが強力な抗酸化物質のマカミドです。

マカミドには神経細胞の保護作用と「脂肪酸アミド分解酵素(FAAH)」の作用を妨げる働きがあるのではないかとされています。

脳の中には痛みや精神的な苦しみを軽減し、幸福感をもたらすアナンダミドという脳内麻薬がありますが、FAAHはこの物質を分解する酵素なのです。

海外では、マカに含まれるマカミドがFAAHを阻害することでアナンダミドの減少を抑え、性ホルモンに影響を与えずに性機能を改善するのではないか、とする説もあるようです。

まとめ

シルデナフィルやテストステロンは正規の医薬品として使用しても副作用のリスクはつきもので、さらにはネット販売でのニセ薬や海外製精力剤への混入も懸念されます。

医薬品成分の副作用は決して軽いものではなく、時に命の危険さえ伴うものです。安易に医薬品や海外の精力剤などに手を出さず、まずは副作用のない安全な天然成分で精力の増強を図ってみてはどうでしょうか。

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